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 ✤ 「ICO」イコヨルSS
Posted on 08.2006
先へ進む方法はいつも用意されていた。
四角いブロック。鎖。爆弾。それらは、たまたまそこにあったわけじゃない。
僕だって途中から気づいたけど、引き返せないなら進むしかないんだ。



+++ 風車のある場所で +++

ずりずりと大きな四角いブロックを引っ張って来て、石の壁につける。
上からは眩しい光が射し込んでいるし、風に草の匂いが混じっている。
ここをのぼれば外に出られるかもしれない。
まずはブロックによじ登り、立って見上げて目測してみる。
うん。この高さなら、ヨルダを引っ張りあげる事が出来そうだ。
そう思い、ヨルダを呼ぼうと振り向いた。

「お・・うわあっ!」

ヨルダは自力でブロックを登って、僕の真後ろに立っていた。
裸足のせいか体重が軽いからか、あまり足音をたてないので気づかなかった。
ヨルダの方が僕よりも頭一つ分くらい高いから、目の前には顔ではなく、その・・・。
大丈夫!ギリギリぶつからなかったから大丈夫。
なんて頭をぶんぶんと振って挙動不審でヨルダに首を傾げられている場合じゃない。
とにかく、今は進まなくっちゃ。慌てて壁に手をかけて上に登り、ヨルダに手を伸ばす。
ヨルダも手を伸ばして僕の手を掴む。


外には堀に囲まれた大きな風車があって、風を受けてゆっくりと回っていた。
建物の中にいるよりも、やっぱり外の方が気持ちがいい。
僕はベンチを捜してみた。
ヨルダはハトを追いかけているくらいだから、そんなに疲れてないみたいだけど、休める時に休んでおかなくっちゃ。
でも、この場所にはないみたいだ。
あのベンチに座っている間は黒い影もやって来ないから、ゆっくり休めるんだけどなあ。

いけない。ヨルダが随分と離れた場所までハトを追って行ってしまった。
この距離で影が来たら間に合わない。

「おーい!」

大声でヨルダを呼ぶと、ヨルダは「あ、そっちだったの」といった様子で駆けて来る。
もしかして、ヨルダは僕とハトの区別がついていない・・?
もしかして・・・もしかして、ヨルダはいつもハトを追いかけて遊んでいるんじゃなくて、ついて行ってたの?

僕は面白くない気持ちになって、ヨルダの手を取らずに風車の土台に乗った。
そこからはジャンプして少しのでっぱりに手をかけて登るしかない。どうせヨルダは登って来られない。
ヨルダは風車を見上げて上を指して何か言っているけれど、だんだんその声も小さくなって、もう聞こえなくなった。
離れてしまうと不安だから、早く道を作らなくっちゃ。

「うわっ」

ヘマをして手をかけ損ねた。下が堀でなければ助からない高さから落ちた僕にヨルダが駆け寄る。
落ち着きなく淵をうろうろとして、ヨルダでも入れそうな浅い場所を探しているようだ。
僕は水の中で立ち泳ぎをしたまま、少しの間その様子を見ていた。



「ごめん。今度は気をつけるね」

水から上がると、僕は日当たりの良い場所で仰向けになって寝転んだ。
服が濡れたくらいでこんなに体が重く感じるなんて。

「ねぇ、少しこのまま横になっていたいんだけどいいかな?」

通じないのはわかっているけど、僕は僕の言葉で言うしかないんだ。

「僕のそばにいて、影が来たらすぐに僕を起こして。ちゃんと追っ払うから」

剣は握り締めたまま、もう片方の手を開くと、ヨルダは手を重ねて、きゅっと握った。
うん。僕は少し、疲れてたんだ。
今はたまたま下に水があって助かったけど、もっと高くて、下は固い石やなんかで、そんな場所を僕らは二人で越えて来たんだ。
ヨルダは何度も、何度も僕に向かってちゃんと飛んでくれたのに。



「手を離さないで」

そうして僕らは、用意された道の先ではない場所へ行くんだ。

+++
ついでに水彩で描いたイコ↓


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cetegory : 他ゲーム二次創作  ✤   ✤ 
2006年09月08日(金)  14:04 by 菊永まき

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