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 ✤ 茜森
Posted on 10.2006
『せいか』

蓋には確かに、油性黒マジックでそう書かれていた。


+++


「こんバカーッ!アイス返せーっ」

ソファーに寝そべった茜を組み敷く勢いで、精華は彼に伸しかかった。
間近で見るとさすがに綺麗な茜の顔も、今は怒りで気にならないらしい。
頭をぽかりと殴ってもまだ足りないという顔で睨み続けている。

「・・ってぇな。体重増えるのヤなんじゃなかったのかよ」
「週に一度の楽しみだべ!」
「シケたお楽しみだこと」
「うっさい!」

名前が書かれたものは他の者が食べてはいけない。
逆に、書いてないと食べられても文句は言えないのが森家の掟である。
精華はちゃんと書いていたのだから、ルール違反をした茜が責められるのは当然なワケで。

「はー・・わーったよ。作るよ」

そう言って、茜は面倒くさそうに体を起こした。

「へ?あんたアイスクリーム作れるの?」
「固まるまで時間かかるけど、いい?すぐに食べたきゃコンビニにでも買いに行くけど」
「あんた、上手いの?美味しいの作れるんなら、それで許してあげる」
「フツー。上手くも下手でもねぇよ」
「迷うような事言うわねぇ。んー・・まあ、一度食べてみるかな」





ガラ ガラ ガラ・・


茜は茶筒のようなものを、ボウルに入れた四角い氷の中で回している。
そんな古風な作り方を一体誰に教わったのか、少なくとも森の母親ではない事は確かだ。



ガラ ガラ ガラ・・


西の窓からの陽が、ダイニングテーブルで頬杖をつく精華の顔まで届いた頃、
アイスクリームはようやく完成した。


「・・・あ・美味しい」
とろりと濃厚な触感は、この頃のあっさり風味で慣れた舌には新鮮である。
ウエハースまで添えてある辺り、中々細かい。

「あんたも食べれば?」
「僕はさっき食ったからいい」
「あんな小さいの一つ食べたくらいで」
「別にアイスは好きじゃないし」
「じゃあ何で私のアイス食べたりするんだべさ」

茜はしまったという顔を、不機嫌そうな顔になり誤魔化す。
そして「イヤガラセ」と言い、せめて精華が投げたクッションは、避けもせず背中に受けた。
ちょっとかまって欲しかっただけなんて事は、絶対に言えやしないのだから。
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cetegory : 他ゲーム二次創作  ✤   ✤ 
2006年09月10日(日)  12:43 by 菊永まき

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