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 ✤ 善舞
Posted on 08.2006
猫と住む人+++



小杉ヨーコ、来須銀河、岩田裕、善行忠孝、そして、芝村舞。
共通の話題というものがあれば、それは一体?
と、問いたくなるようなこのメンバーで昼食をとっているのは、
ヨーコが『みんなでお昼』を提案した時、プレハブ校舎二階にいたのがこの5人だったからだ。


舞は『岩田の隣の隣の席』を狙った。
絶えず<くねくね>としているこの男を視界に入れて食事などすれば(酔う)と、直感的に判断したのだ。
岩田、ヨーコ、舞が並んで座り、向かいに来須、善行が並んで座った。


ヨーコの話を、来須が相槌こそ打たないが聞いている。
岩田は勝手に電波を受信送信している。
善行は淡々と食事をしている。
そして舞は、

「・・・芝村さん、何か欲しいおかずでもあるんですか?」
善行にそう言われてしまう程、舞は彼の弁当を見ていた。

「いや、魚の食べ方がキレイなので感心しておった」
「ああ、そうですか。こういう事には厳しかったのでね」

舞は自分の弁当に視線を戻した。
善行の弁当箱の中で、気持ち良く骨だけとなった魚に比べると、
骨はバラけてしまっているし、身も散らかっているしでみっともない。
ふと、隣の隣で妙な動きを止める事なく食べている岩田の弁当を見れば、
こちらの魚も、標本のようにキレイな骨だけになっているではないか。

(・・・岩田に、負けた。他の誰に負けるよりも悔しい気がする・・)
舞はがっくしと肩を落とした。


+++


「ねー、コンビニへ買出し行くけど、何か要るー?」
二十二時を回ったというのに、ハンガー内にはほぼ全員が残っていた。
仕事はまだ終わりそうになく、味のれんも閉まる時間なので、荒井木が皆の注文を聞いて回っている。
「私も行こう」
丁度キリが良かったので、舞も一緒に行く事にした。
「じゃあ、小隊隊長室にも声かけてくれる?
 僕は荷物持ちに男の人一人捕まえて来るから、校門で待ってて」
「わかった」


小隊隊長室に入ると、正面の机に善行の姿は見えなかった。
「買出しに行くのだが、何か要るか?」
「あんな、おにぎりやったら何でもええわ。おにぎり二つと緑茶、頼んでええ?」
加藤祭が椅子の背もたれに肘を置き、にこっと笑った。
「わかった。善行はどうした?」
「食事して来る言うてはったから、要らんのとちがう?」
「そうか」
机の上には、書きかけの書類が置きっぱなしだった。
(とてもキリが良い所で食事に行ったとは思えんな。几帳面に見えてよくわからぬ男だ。
 それより、重要ではないにしろ、このように書類を机の上に広げたまま席をはずすのはどうかと)
そう思いつつも、達筆には感心した。魚の時とは違って、舞も字には自信があったのだけれど。



校門で待っていると、すぐに荒井木と若宮がロビーから姿を現した。

「やっぱり、おにぎり希望の人が多いねー。売り切れてなきゃいいんだけど」
「具を選好みしなけりゃ大丈夫だろう」
そんな話をしている二人の後ろを、
(・・・しまった)
という顔でついて歩く舞。
この二人が『最近つきあい始めたらしい』という話は、加藤から聞いて知っていた。
気分転換を兼ねて、散歩がてら荷物持ちになるつもりだったが、若宮がいれば舞の手は必要ないだろう。

「ねー、芝村さんは何にするのー?」
逆に気を使ったのか、荒井木が振り向いて声をかけて来た。
「サンドイッチにしようと思う」
「サンドイッチかあ・・ねえ、芝村さんて速水くんが好きなの?」
「・・・はあ?」
「いや、だって仲良いし。ちょっと噂になった事もあるし」
荒井木はいたずらっぽく、へへっと笑った。
(噂っ?いつ!?・・・知らない・・私は知らない。そしておそらく速水も知らないであろう・・)



コンビニのマークが入ったビニール袋を下げてハンガーに戻ると、皆が仕事の手を休めて集まって来た。
舞は自分と祭の分を取り出すと、小隊隊長室へ向かった。

「おおきにな。うちも一休みするわ。一緒に食べよ」
一度大きく伸びをしてから、祭はごそごそとおにぎりを取り出した。
好きな具だったのか、嬉しそうにペリペリと包装をむいている。
隊長室は狭い。戻っていた善行が仕事中なので、舞は教室に移動した方が良いのではと思ったが、
善行はこちらの事は全く気にしてない様子で書き物をしている。

「芝村さんはサンドイッチが好きやねえ。やっぱ紅茶が好きやからかなあ~。
 あんた、ホント速水くんと好みが似てるなあ」
「好みが似ているせいかどうかは知らぬが、妙な噂も流れたそうだな。
 私はさっき荒井木から聞くまで知らなかったが」
「あはははー。一組のもんはいつもあんたら見てるから、そんな噂、笑って終わらせたけどなあ。
 まあ、みんな楽しい話題はいくらでも欲しいもんなんよ。あんたもそう眉間によせんと、笑ってすましたりィ」
「もうよい。荒井木も過去形で話しておったし、本人の知らない所ですでに終わっている話だ」
「それはそれとしてや、芝村さんて好きな人おらへんの?」

ブッ

「その古典的な反応、岩田が喜びそうやねえ。スバラシイィィーとか言うて」
ティッシュの箱を差し出し、祭が笑う。
「で、誰やのん?」
祭は誤魔化されたらへんよ?というように、噴出した紅茶を拭いている舞の顔を覗き込む。
「・・・加藤は?」
「うち?狩谷くんなんよキャッ・・って前にも言うたやん!」
「・・・二人とも、私がここにいる事を忘れないでくださいね」

善行の一言に助けられて、大急ぎでサンドイッチを紅茶で流し込むと、舞は小隊隊長室を後にした。


+++


その夜、舞は薄い布団に包まりながら、律儀に考えていた。

最初に気になったのは、猫を飼っていると聞いたからだった。
素直にいいなあと、そう思ってしまった。

(魚をキレイに食べられる男は、好きだ。キレイな字を書ける男は、好きだ)

くるんと寝返りをうち、もう一度寝返りをうち、布団の中に潜ると、舞はやっと目を閉じた。
明日また、好きな所を見つけるのかもしれないなんて思った事は、見た夢と一緒に忘れてしまった。


(2001.7.19作品)

ついでに同じ頃描いた善行司令↓



↓当時のコメントです。
この後、『恋人関係』になって『関東帰還イベント』になだれ込んだ(笑)のですが、
ほのぼのからイキナリ暗いシリアスになってしまったので、これはこれで別に仕上げようと思います。
来須×ヨーコさんの方には申し訳ないのですが、来須とヨーコさんはウチでは『恋人関係』ではありません。
でも、仲良くして欲しいです。ヨーコさん個人は好きなんですよ。来須以上に情熱的に追って来てくれるわ、
いつも弁当くれるわ、日曜は誘ってくれるわで。来須は『Hな雰囲気』中でも「田代は何処だ」だの
「加藤は何処だ」だのマップからとっとと一人出て行くだので、一人おのれ~がかなり情けなく、もう
「出て行かれる前に出て行ってやるぜっ」と、わたくしの中で何かが間違ってしまっていました(笑)

タイトルは・・・速水くんも猫飼っていましたね(忘れてたんかい)
嫌いなのに飼っているという善行の方が印象度が上だったんです。旗も高ポイントです。
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cetegory : 他ゲーム二次創作  ✤   ✤ 
2006年09月08日(金)  16:48 by 菊永まき

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