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 ✤ ドラハーSS
Posted on 20.2009


それは、本当に偶然だったのだ。
そう、たまたま、彼が登っていた木の下にハーマイオニーが座ったのだ。

ドラコは普段から木登りを楽しむタイプではない。
しかし、そういう気分の時もある。
つまり、一人になりたい時。
誰もこんな所にドラコを捜しに来たりはしない。

ハーマイオニーは手に持っていた本の中から1冊を取り出し、それを膝の上に広げて読み始めた。
細い指が、薬草の写真が載っているページをゆっくりと一定のリズムでめくる。

(意外性のない女だな)

ドラコは面白くなさそうに頬杖をついた。
ふわふわとした栗色の髪が、わずかな風にも揺れているのが見える。
ハーマイオニーはドラコに気づいていないとはいえ、人がいるのは落ち着かない。
自分が先にこの場所にいたのだから『別の場所に行け』と言うつもりで体を乗り出した。
そこでドラコは滅多にしないヘマをした。

バサッ・・ドッ・『きゃあっ』

手を滑らせてバランスを崩し、落ちたのだ。
ハーマイオニーはびっくりして真横に降って来た人間の反対側に仰け反った。

「一体・・何事?」
「・・っ・・お前がそんな所にいるからだグレンジャー・・」
「何を言っているのか分からないけど、一応聞くわ。・・ねぇ、大丈夫なの?」
「・・・ああ」

ドラコは足を引き摺るようにして体をずらし、木にもたれた。

「足、ひねったの?」
「何でもない。それよりお前、何処かに行けよ」
「わたしはここで本を読んでいたのよ?どうしてそんな事を言われなきゃならないのよ」
「僕が先にいた。そして僕はしばらくここから動く気はない。お前もそうする気なのだとしたら」
「したら?」
「ここは人通りが少ないとはいえ、見晴らしがいいから遠くからでも見える」
「そうね?」
「下手に遠くから見たら、まるで仲良く並んで座っているみたいに見えるんだぞ」
「そ・・れはイヤだわね」
「同感だ」

ハーマイオニーは慌てて立ち去ろうして、でも、やはり気になるので声をかけた。

「ねえ、いつも一緒の二人はどうしたのよ」
「その言葉、そっくり返すよ」
「とにかく、あの二人を見つけて迎えに来るように言うわ。それよりマダム・ポンフリーに・・」
「どちらも結構。しはらく休んだら自分で歩ける」
「別にわたしは全然構わないんだけど、それ、早く湿布した方がいいと思うわ」
「じゃあ持って来てくれよグレンジャー」

『何でわたしが』と抗議したくなったが、相手はケガ人である。
ブツブツと文句を言いつつも、ハーマイオニーは保健室に向かう。
その後姿を見送った後、ドラコは溜息をついてよく晴れた空を見上げた。
クラッブとゴイルにこの場所を知られたくはない。
誰かに木から落ちたなんて知られるのもゴメンである。
とすれば、ハーマイオニーに頼むしかない。

「はい、これ」

戻って来たハーマイオニーに礼も言わず、ドラコは投げ出した自分の足に視線をやり、
顎で合図した。

「何でわたしが・・」

ケガ人相手というのは全く、分が悪い。
再びぶちぶちと文句を言いながらも、ハーマイオニーは手当てをしてやった。

「借りは返す」
「そう?じゃあ、魔法薬学の時、またハリーに何かあったら一度だけ助けて。
 あなた、スネイプ先生のお気に入りだもの」

それを聞いてドラコは眉を寄せて不機嫌そうにハーマイオニーの顔を見上げたが、
すぐに目を閉じて(もう行けよ)という様に片手を小さく上げた。
ハーマイオニーは了解の意と解釈し、
くるりと背を向けて何処かへ行ってしまった。振り向きもせずに。

「よりにもよって、ハリー・ポッターを助けろとはね。面白くない事を言ってくれるよグレンジャー」

あまりな条件にクックッと笑いすらこみ上げて来る。

「全く、面白くないよグレンジャー」

(2002.1.?作品。昔少しだけハリポタサイトやってた頃の発掘品)
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cetegory : その他二次創作  ✤   ✤ 
2009年04月20日(月)  14:43 by 菊永まき

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