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 ✤ シメマキSS(ラプソディア)
Posted on 03.2007
「子供の頃に越した家がそうだったんです。小さな女の子でしたよ。
 不思議なもので、こんな雨の日には随分とはっきり見えるんです。
 それでもだんだん薄くなって、最後の頃にはもう、
 ゆらゆらとした空気の歪みにしか見えませんでしたがね」

雨で出発を遅らせていた客が、雑談の終わりにそんな話をした。
空が明るくなって大分経つが、細い雨はまだ、花壇の花を揺らしている。
白に黄色。橙に赤。
おくべきはこの世ではないようなこの身にも等しく、春は来る。

これからテラナー草原を渡るのだというその客は、結局、雨が上がるのを待たずにハルナを発った。





「雨と一緒に移動していた」

挨拶もないのはいつもの事。しかし、先に口を開くのは珍しい。
火属性の彼女は、身体に纏わり続ける水気が忌々しかったのだろう。
戸口に立ったまま、雨雲が去り行く方向を睨みつけている。

「入りなされよマキシン。火は焚いておるよ」

暖炉のそばに木椅子を置いてやり、
その後ろでテーブルの上を片付けながら、近況を訊ねたり話したりする。
変わった事は何もないと、彼女は言う。それはこちらも同じ事。
大魔法使いと呼ばれようと、自分の生活は典型的な老人のそれに過ぎず、
こうして時折の来客を楽しみ、長い話をして若い娘を退屈させたりする。

「今日はな、若い頃、幽霊屋敷に住んでいたという客の話を聞いたよ。
 人は平凡に見えても、こちらが想像もつかない体験をしておるから面白い。
 のう、マキシン。もし、わしが死んでお主の前に現れたら、やはり、気味が悪いかの?驚くかの?」
「どうもしないよ」

無関心といった言葉でも、ちゃんと返してくるのが彼女らしい。
そう思っただけで、茶は何をいれようかと、そちらに気を取られていると彼女が振り返った。

「霊感、ないんだ」



ここで笑ったら、また怒る。いつだって彼女は大真面目なのだから。
テーブルを拭きながら彼女に背中を向ける位置へと移動して誤魔化したが、
つい、振り向いて、目が合ったところで堪えきれず噴出してしまった。
それで、また睨まれた。

「笑うな」
「そうは言われても、こみ上げてくるものは止まらんよ」

彼女の事で、昨日は知らなかった事を今日は知る。
それが楽しくて、それだけの事が嬉しくて、自分は笑うのだ。





+++

何があるわけでもないシメマキコネタ。
何かありようがないですか何処までいいですかどうすればいいですかこの人たち(笑)
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cetegory : 幻想水滸伝二次創作  ✤   ✤ 
2007年03月03日(土)  20:06 by 菊永まき

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