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 ✤ 岩舞
Posted on 21.2009
「居心地が悪い」

コタツに入るなり、舞は不機嫌そうに視線を泳がせた。

「僕の部屋はいつもと変わりありませんが?」

そう。岩田の部屋はいつも散らかっていない。
散らかるものがないのだから、散らかりようがないのだ。
殺風景を通り越して生活感のないこの部屋が、舞はキライではなかった。

「お前の部屋が居心地悪いと言っているのではない。
 正月が、だ。いつもと違うというのは何とも落ち着かない」
「アナタは学校が好きですからねぇ。
 まぁ、すぐに過ぎますよ。すぐに、またいつもの日々です」

そう言って紅茶の入ったティーカップを舞の前にコトンと置くと、
彼も長身の体を窮屈そうに曲げて、コタツに座った。

「お前、何故今日はその・・何だ」
「はい?」
「何故顔に何も塗っておらんのだ?やはり正月だからか?」

さっきから言いたかったのはそれだろうと、そんな事は岩田にも分かっていたけれど。
ちらりちらりと見ては視線をそらす舞が面白くて、
岩田は目を細めて笑ったまま、答えずに彼女の顔を見ていた。
頬杖をつく手の長い爪もマニキュアはされておらず、細くきれいな、でも、男の手をしていた。

「した方がいいならしますケド?」
「別に・・・・・・・・・・・・構わん・・・・・・・が」
「が?」
「何故こちらに座り直すのだっ?
 いいか?コタツは四角い。そして一辺は壁に接触しておる。そして私がここに座っておる。
 この場合、お前は私の向かいに座るべきであろうっ?」
「それでもいいんですけどね、小さいコタツとはいえジャマですから」

舞の右は、壁。後ろも、壁。逃げ道の確保が必要だとは思わなかった結果がこれである。

「いつも顔に塗っている白いのはプロのピエロが使う特殊なものなので簡単には落ちないんですよ」
「そっ・・それは前にも聞いた」
「でもね、口紅はその辺に売っている安物なんですよ」
「ああああああんな色の口紅でもその辺に売っているものなのか?」
「エエ、だから、あれは少しでも擦ると簡単に落ちてしまうので」
「で?・・・っ」
「だから、せっかくですので、ね?」

舞はにーっこりと笑う岩田のアップに耐えつつ、やっと押し殺したような声を出した。

「・・・・口紅は何処だ?」
「その棚の小さい引出しですよ」

すくっと立つと、行儀悪くもコタツを跨ぎ、舞は岩田が指差した棚へと直進した。
そして、ガタガタと引出しを開ける。中はきれいに整理されていたので、口紅はすぐに見つかった。
ぐいっと手を伸ばし、それを岩田につきつける。

「やはり、してくれ」
「ハイハイ、わかりましたァ」

岩田は素直に口紅を受け取った。
だから、舞はホッと油断してしまったのだ。


重なる唇に、目を見開いたまま固まってしまうほど子供ではないつもりだったのに。

+++
2001年頃の作品ですね。
そのあとは勿論舞ぱんち。
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2009年06月21日(日)  08:57 by 菊永まき

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