1998年に発行した本に書いたコネタ五つの内の三つ。
「二次元の彼女と目が合った朝」(ヒイリリ)
「秋の終わりの七日間」(トロキャス)
「ティータイムは君と一緒に」(カトドロ)
■二次元の彼女と目が合った朝■
「 ヒイロ・ユイ −−− リリーナ・ドーリアンに熊を贈った男」 墓石にはそう刻まれていた。
・・・という、ろくでもない夢を見てしまった。
ちょっと待て、俺が贈ったのはテディ・べアだ。熊じゃない。
こんな夢を見てしまったのも、奴ら全員が知っているからだ。
何故だ?あんなにこっそりと渡したのに。
・・・いや、見当はついている。リリーナ⇒ドロシー⇒カトル⇒大勢という図だな。
しかし、トロワには熊を贈ったそうだなと言われた。
間違って伝えたヤツは・・・・・多分、五飛だろう。ヤツは人の話を最後まで聞かない男だ。
朝食は朝のニュース番組を見ながらとる事にしている。
焦げたトーストをくわえてテレビをつけると、リリーナがいた。
『 一番の宝物は何ですか?』
おいおい、リポーター・・・外務次官にそんな事を聞いてどうする。
間抜けた質問をするリポーターにも彼女は笑顔で答えてみせた。
『秘密です。でも、一人だけ、それが何かを知っている人がいます』
その時、二次元の彼女と目が合った気がした。
■秋の終わりの七日間■
月曜日。
衣装箱の奥に編みかけのセーターを見つけた。気づかなかった事にした。
火曜日。
野菜箱の隅に編みかけのセーターを見つけた。気づかなかった事にした。
水曜日。
洗濯機の中に編みかけのセーターを見つけた。気づかなかった事にした。
木曜日。
ベッドの下に編みかけのセーターを見つけた。気づかなかった事にした。
金曜日。
タンスの上に編みかけのセーターを見つけた。気づかなかった事にした。
土曜日。
買物カゴの中にライオンの絵柄の包装紙と緑色のリボンを見つけた。
やはり、気づかないふりをし続けた。
日曜日。
ポスター貼りに出かける前、キャスリンがトレーラーのドアを少しだけ開け、
よく通る細い声で自分を呼んだ。
『 寒くなる前に間に合って良かったわ 』
その日は、何かの記念日のように特別な日ではなかった。秋の終わりの一日に過ぎなかった。
『 そうだな・・・。これから寒くなる。ありがとう 』
同じ場所で仕事をして、同じ場所で休んで、自分に隠れてこれを編み上げるのは苦労しただろう。
少なくとも、自分は彼女がこれを編んでいる姿を見かけはしなかったのだから。
街でポスターを貼りつつ、雑貨店などを覗いて歩いた。
七件目の店で、細い銀の輪にパステルカラーの小さな石が付いたブレスレットを見つけた。
彼女の華奢な手首に、それはきっと似合うだろう。
■ティータイムは君と一緒に■
会いたくなったら会いに行けばいい。偶然を期待出来る程、この世界は狭くない。
しかし、僕はあまりに多忙だった。影武者の一人二人欲しいなと、本気で思う今日この頃だ。
それなら彼女に来てもらえばいいか。
しかし、彼女もまた多忙だった。中年層にもっと頑張って欲しいところだ。
電話をかけてみよう。今、彼女が居る場所は午後八時。悪くない時間帯だ。
『 お久しぶりね。確かモナコでお会いしたのが最後と記憶しておりますけど 』
『 あのパーティーでもあまり話せはしなかったけどね』
『 ・・・あら?そちらは今、午前二時ではありませんの?こんな時間までお仕事?』
『 僕が今、何処にいるのか知っているの?』
『 勘ですわ・・ッ 』
彼女の語尾が微かに慌てた。それが、嬉しかった。
『 こっち来れない?』
『 何のご用ですの?』
『 一緒にお茶を飲みたいだけなんだけど?』
『 それだけの為にわたくしはシャトルに乗って貴方の所へ?』
『 それだけの為に僕はシャトルに乗って君の所へ行きたいんだけどね 』
2007/08/11 18:09 | ガンダムW保管庫