シメマキSS(ラプソディア)

天幕を組む場所の条件は色々あるが、全てを満たす場所など滅多にない。
昨日、彼らがようやく落ち着けたのは日暮れ近く。次の街までは徒歩で小一時間ほどの場所だ。

「マキシン」

珍妙な衣装を身につけた白髪の男が、天幕の入り口からちょいちょいと手招きをする。
マキシンは煩そうに顔を上げただけで立ち上がろうともしなかったが、
男がいつまでもそこにいる事に根負けし、舌打ちをひとつして入り口に向かう。

「何だ」
「用はないがの、ちと話し相手になってくれんか」
「他にいないのか」
「おらんなあ。これでも人見知りでの」

と、笑う。これは平気で嘘をつく男の顔だ。
マキシンも小娘の年ではないし、人間を分析する能力に長けている。
だから、この男の好意も本当は分かっている。分からないのは、どう応えればいいのかだ。
若く美しい顔をしていようがご老体。いっそ若者ぶっていればいいものを。

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↓ついでにちびマキ。


↓さらについでにマキシンが戦闘メンバーにいないので離脱しちゃおっかなーと考えているシメオン。


シメマキSS(ラプソディア)

「子供の頃に越した家がそうだったんです。小さな女の子でしたよ。
 不思議なもので、こんな雨の日には随分とはっきり見えるんです。
 それでもだんだん薄くなって、最後の頃にはもう、
 ゆらゆらとした空気の歪みにしか見えませんでしたがね」

雨で出発を遅らせていた客が、雑談の終わりにそんな話をした。
空が明るくなって大分経つが、細い雨はまだ、花壇の花を揺らしている。
白に黄色。橙に赤。
おくべきはこの世ではないようなこの身にも等しく、春は来る。

これからテラナー草原を渡るのだというその客は、結局、雨が上がるのを待たずにハルナを発った。





「雨と一緒に移動していた」

挨拶もないのはいつもの事。しかし、先に口を開くのは珍しい。
火属性の彼女は、身体に纏わり続ける水気が忌々しかったのだろう。
戸口に立ったまま、雨雲が去り行く方向を睨みつけている。

「入りなされよマキシン。火は焚いておるよ」

暖炉のそばに木椅子を置いてやり、
その後ろでテーブルの上を片付けながら、近況を訊ねたり話したりする。
変わった事は何もないと、彼女は言う。それはこちらも同じ事。
大魔法使いと呼ばれようと、自分の生活は典型的な老人のそれに過ぎず、
こうして時折の来客を楽しみ、長い話をして若い娘を退屈させたりする。

「今日はな、若い頃、幽霊屋敷に住んでいたという客の話を聞いたよ。
 人は平凡に見えても、こちらが想像もつかない体験をしておるから面白い。
 のう、マキシン。もし、わしが死んでお主の前に現れたら、やはり、気味が悪いかの?驚くかの?」
「どうもしないよ」

無関心といった言葉でも、ちゃんと返してくるのが彼女らしい。
そう思っただけで、茶は何をいれようかと、そちらに気を取られていると彼女が振り返った。

「霊感、ないんだ」



ここで笑ったら、また怒る。いつだって彼女は大真面目なのだから。
テーブルを拭きながら彼女に背中を向ける位置へと移動して誤魔化したが、
つい、振り向いて、目が合ったところで堪えきれず噴出してしまった。
それで、また睨まれた。

「笑うな」
「そうは言われても、こみ上げてくるものは止まらんよ」

彼女の事で、昨日は知らなかった事を今日は知る。
それが楽しくて、それだけの事が嬉しくて、自分は笑うのだ。





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何があるわけでもないシメマキコネタ。
何かありようがないですか何処までいいですかどうすればいいですかこの人たち(笑)

シメマキSS(ラプソディア)

彼女が半隠居生活をしているのは、群島にある 『庵の小島』 である。
であるから、

( ハルナは遠いんだよっ!)

・・・・・と、ラマダに対する文句をぐっと飲み込んでから、マキシンは少しだけ見慣れた扉を叩いた。
乾いて硬く、軽い音。老いた住人に似合いの、古い家だ。




バレンタインデー企画その2 --- シメマキSS




( 十五、・・・十・・九・・・・・・   三・・二・・一 )

マキシンのカウントにコンマ一秒の狂いもなく、扉は開いた。
人との距離を正確に測る必要がない時でも、こういった感覚は常に鍛えておかなければ衰える。
接近戦を苦手とする彼女にとって、生き残る確立を高くする為の習慣だ。
しかし、また説教をされるのも面倒なので、急ぎ気を散ずる。

「すまんの」

シメオンはマキシンを招き入れると、旅に出る前に色々片付けようとしてこの有様、と、困ったように笑った。
戦いが終わったら旅に出るという話は、本人でなくパブロから聞いて知っていた。
その後に、マキシンは二度、ラマダを通してこの男に呼び出されている。
依頼は二度とも、彼の研究の助手的な仕事だ。
だから、今、それを聞いて、本当に旅に出るつもりだったのかと意外に思った。

「お主には稀少本を何冊か預かって欲しくてな。まあ、座りなされよ。そう急がずともよかろう」

古布を裂いて編んだラグの上に腰を下ろすよう勧めて、自分は台所に入る。

「中途半端な時間じゃな。小腹も空いておらぬのか?
 ・・・といっても、野菜のスープが少し残っているくらいか。お主、体を休めたら買い出しを頼まれてくれんかの」

その声はまるでアルト。
少女のような顔から発せられるに何の不思議もなかったが、年相応なのは、実は口調のほうなのだ。

「ほれ。少し熱いぞ」

手盆で運ばれたカップを受取るため、マキシンは腕までも覆う長さの手袋を取った。
マニキュアが似合いそうな爪には何も塗られていない。
シメオンは自分に伸ばされた手の真白さに胸が痛んだ。
この娘に好意を持っている事を認めていても、別の意味で胸が高鳴るような感受性は枯れて久しい。
というか、ドキドキする事が頻繁にあれば、身体がもたない。本当に年寄りだから。
と、自分に言い聞かせつつ、見るとはなしにといった様子で彼女を見る。
眼こそ赤くないが、どうもこの娘は色素が薄いのだ。
彼女は脆弱に見えれば狩られる世界にいた。
だからこそ、常に全身を隠す衣装は、元暗殺者にしては目立つ真紅。
それが彼女のイメージになり彼女を守って来た。
赤は意味があり過ぎる色にせよ、彼女にとてもよく似合っている。

まあ、家の中に女の子がいるのは、普通にいいものだ。

つい、幸せそうに微笑んだら 『何だ』 と睨まれた。
言えば更に怒るだろうから、また 『すまんの』 とだけ謝っておく。
すっかり怒られ癖がついてしまったものだと、シメオンは苦笑する。



「何を買ってくればいいんだ?」

マキシンは空になったカップをシメオンに返し、立ち上がった。
やれやれまだ休んでおれば良いのに、と、一応は口にするものの、台所に戻り、パン籠やら壺やらを覗く。

「そうさの・・・塩漬けの豚肉はまだ少し残っておるの。
 パンと、レンズ豆。それと、肉屋で売っているチキンパイを買って来てもらおうかの」

食事は具が多少違うだけで、いつもパンとスープだ。
今日はマキシンが一緒なので、チキンパイも付ける。
ハルナは辺境の小さな町。
店は点在せず一つところに集まっているから、土地勘のない者でも買い物には困らない。
マキシンはすぐに言われた物を買い戻って来たが、冬の日没は早いからと明日の出発をすすめた。

「薄味過ぎるかの?」
「いや」
「お主、一人で暮らしておるのであろう。料理はするのか?」
「するよ」
「得意か?」
「不得意だよ」
「そうか」
「アメリアが不味いと言ったからそうなんだろ」
「ああ、そんな名前の娘がいたな。顔はよく思い出せぬが、友達であったか」
「さあ。この前、用もないのに来た」
「それなら友達であろう」
「ロジェも来たよ」
「追い返しなさい」
「丁度留守にしていた」
「よし」

夕食を終える頃、スカーフで髪をまとめた老婦人が人参ケーキを持って来た。

「こんばんはシメオンさん。この前の若い娘さんがまたいらっしゃってるみたいだから、これどうぞ」

よく見てるのうと感心しつつ、ケーキを受取る。星型のクッキーが乗せられていたりして可愛い。

「ほう、これは美味そうだの。ありがとう」
「いいわねえ。ウチの孫は全然寄り付きゃしないんだから。若い人に年寄りの相手は面白くないんでしょうねえ」

おほほほほほ、と、無意味に一笑いをして隣家の老婦人は帰った。

「・・・・・どうかの?面白くないかの?年寄りの相手は」
「フン」
「今、食べるかの?」
「もう入らない」
「では、明日にしよう」

ケーキは清潔な布巾で包み、鍋の中に入れて蓋をしておく。
ついでに、椅子の背凭れに掛けた買い物袋を畳もうとして、底に何か残っている事に気づいた。
これはマキシンの買い物であろうと、その薄く四角い包みを渡そうとすると、マキシンはちらりと見て言った。

「今日はバレンタインデーだそうだ」
「?」

マキシンは面倒そうに言葉を足す。

「だから、バレンタインデー。
 チキンパイを買って、籤を引かされたらそれが当たった。今日はバレンタインデーだから特別なんだと」
「・・・・・ああ、ああ。そうじゃったか、驚いた。では、ほれ。お主が当てたのだからお主の物だ」
「やるよ」

生活水準が低めのこの辺りでは、昔からバレンタインデーという行事が盛んではない。
チョコレートは高価なものだから、普段は売ってもいない。
マキシンが引いたのは大当たりだったのだろう。
知れば、マキシンはくだらない事に運を使ったと不機嫌になるだろうから、余計な事は言わないでおいた。

( いや、この場合、運を使ったのはわしかの )

それならば、我ながらいい使い道だと、シメオンは一人、ささやかな良き出来事に感謝する。










+++

すみません。すみません。色々とすみません。
とあやまっても、ここまでお読みになる方がいらっしゃるのか疑問なシメマキ。
マイナー取り扱いのウチのサイトでも、ここ数年で一番のドマイナー。
ドマイナードマイナーとあまり言うては数少ない同士様に失礼かと思いますが、
新参者の私なんぞが思う以前からそう実感し続けていらっしゃるだろう。
シメオンはゲーム中では「私」と言うておりますが、プライベート(?)ではきっと「わし」。
実はこの後もちっとじいさん一方的(笑)ラブな展開を用意していましたが思いとどまりました。
さて、この二人、どうやったら一緒にいてくれるんだろう?
マキシンは旅に誘ってもついて来そうにないし、
シメオンが庵の小島におしかけ女房してくれてもいいんですけどね。ていっと追い返されそうです。
まあ、ウチのじじいはメゲないですけど(笑)
シメオンは見た目若いですけど、実際にはかなりガタがきてそうなイメージです。
それでもいける自分の年の差上限は天井知らずだなあと思います。
先日、某様とのメールでシメマキ熱を発散させて頂きましたが、
まだまだ治まらないったら。

シメマキ漫画(ラプソディア)

昔、この場所が「少女チャングムの夢」ページだったもので、
当時、韓国かどちらかのサイトさんがリンクしていらしたのですが、
それがそのままになっているので、
今でも時々、少女チャングム目当てに海外の方がこのページに来られているようです。
現在の少女チャングムの画像があるページのリンク貼っておきますね。
少女チャングムの画像はこちらに移動です
と、日本語で書いて分かるものなのかどうなのか。

+++

身長はマキシンの方が高く見えるのでそれで行きます。
老人と小娘のCPは昔から大好きなのですが、老人(初老可)←小娘のこの←の向きは重要で、
じいさん側は好かれて困ったなあやれやれという位置が望ましく、
間違っても小娘を追っかけてはいけないのですが、
シメマキの場合シメオンの外見がああなのでどうもシメオン→マキシンになってしまいがち。
しかもじいさん全然秘めてないし(笑)
ロジェとの会話で魔法の力で若く見せているだけと言っているのは何処までが本当なのかなあ。


ロジェとマキシンの会話も好きなんですよ。
傍から見たら結構楽しそうに喋ってるように見えそう。
それを見てとっても面白くないじいさんの図↓
この後ロジェを「氷の息吹」とかにガンガン巻き込みそうです。拗ねた老人は始末に終えない。


シメマキ漫画(ラプソディア)