先生の匂い+++
ぷるぷると指先が震えるくらいピンと挙げた手も虚しく、
今日も魔法薬学の授業でハーマイオニーが当てられる事はなかった。
彼女の隣には、スネイプに当てられ続けるハリー。
スネイプがハーマイオニーを当ててくれさえすれば、
ハリーは二重に辛いこの現状から開放されるのだが、
ハリーに対しての大人気無いともいえるスネイプの態度が、
ある日突然変わるという期待が出来る筈もなく。
「君に答えが解ってるって事は、クラスの連中もスネイプも知っているさ」
「わたしはそんな事をひけらかしたいわけじゃないのよ」
「じゃあいい加減諦めればいいのに。手がだるイだけだと思うケド」
「ねえ、ロン。あなたちゃんと考えているの?さっきから全然進んでないじゃない」
「君がてこずっている問題を僕達がスラスラ解けると思う?なあ、ハリー?」
図書館には、ハリー、ハーマイオニー、ロンの他にも同じグリフィンドールの生徒、
そして魔法薬学で一緒になるスリザリンの生徒も沢山いた。
今日の授業で出された魔法薬学の宿題をするためである。
皆、資料となりそうな書物を開いているが、
頭上に『う〜ん う〜ん』という文字が見てとれそうな様子だ。
「ダメ、あと一問がどうしても解らないわ」
「じゃあ全部解けたヤツはいないってコトだな。僕なんか半分がやっとだよ」
「しょうがないわね。ヒントは教えてあげるから、答えは自分で考えるのよ。
ハリーは・・ああ、そこまで出来てるのね。じゃあロンの方から。
えーと、ここはね・・あら?手元が暗くなった」
いつのまにか彼女はロンとハリーだけではなく、
ぐるりと大勢の生徒(スリザリン生含む)に囲まれていた。
結局、最後の問題は解けないまま、図書館は閉館の時間を迎えた。
解らない問題があるという事が、ハーマイオニーは嫌いである。
だけれど、最近は少し違う。
ある授業限定で、それが少し嬉しかったりするのだ。
理由は自覚していた。
キーワードは『口実』
コン コン
魔法薬学実験室のドアをノックする。
放課後、スネイプは大抵ここか、この奥の専用研究室にいる。
しかし、今は返事がない。
「薬草園の方かしら・・」
鍵がかかっている事を確認し、諦めて帰ろうと思ったら、
予想外な事にギィ・・と重い音をたてて扉が開いた。
奥には危険な薬品も置かれている為、スネイプが不在の時は必ず鍵がかかっている筈なのに。
そっとのぞいてみると、スネイプの姿はない。
しかし、さっきまで誰かがいた気配のようなものが残っている。
「勝手に入ったりしたら間違いなく減点・・あら?」
扉を閉めようとして、ある物が目に入った。
椅子に無造作にかけられた黒いローブ。スネイプがいつもはおっているものだ。
スネイプの体の一部ではないかと思うくらい異常に似合っている彼のローブ。
それが、こうして彼の体を離れているという事が何とも妙で、
ハーマイオニーはつい確かめるように手に取ってみた。
色んな薬の匂いが染み込んで、クセのあるお香のような匂いがする。
いつもスネイプとすれ違う時にする匂いだ。
だとすれば、これを着ていない彼は、どうなのだろう。
それとも、彼にもこの匂いは染み付いているのだろうか。
足音もなく、奥の扉が突然開いた。
「何をしているのかね?ミス・グレンジャー」
「は?」
「『は?』ではない。我輩のローブを隠そうなんて子供じみた悪戯をするつもりだったのかね?ミス・グレンジャー?」
はっと気づくと、ハーマイオニーはローブを抱きしめるように、いや、実際抱きしめていた。
「いえ、あのっ」
「・・・勝手に入ったな。グリフィンドール5点減点」
「あの、わたし、質問があって・・宿題のこの問題なんですけどっ」
「調べれば解ける筈の問題だ」
「図書館は閉館時間になってしまって」
「我輩の出した宿題の量に問題があるとでも言いたいのかね?ミス・グレンジャー」
そう言い、スネイプはハーマイオニーが持って来た羊皮紙を骨ばった指でパラパラとめくった。
「ふん・・」
途中、面白くなさそうに声を漏らした。
「これは難しくなかったのか?」
スネイプはハーマイオニーが二番目に難しいと思った問題を指した。
「難しかったです」
「解けているではないか」
「難しかったですけど、解けない問題ではなかったです」
「・・・ふん」
ますます面白くなさそうな顔をするスネイプを見て、
ハーマイオニーは可笑しくなり笑いをこらえるのに必死だった。
生徒が難しい問題を解いてみせた事がそんなに気にくわないのだろうか。
つい可愛いなんて思ってしまった事を知られたら、どんなこじつけをもってしても退学まで追い込まれるに違いない。
「わたし、失礼しますっ。勝手に入ってすみませんでした」
ハーマイオニーは笑い出さない内にと慌ててスネイプから宿題をひったくるように取り、礼をして部屋から出た。
ぱたぱたと軽い足音が、扉越しに遠くなる。
「・・・・・質問があったのではないのか・・?」
まだ、秘密。
この先何年も。
例えば、これからの数年。
きっと、彼はハーマイオニーよりもゆっくりと年を取るだろう。
もう、背も伸びない。
ハーマイオニーのように大きくはならない。
「大丈夫。そう無茶な恋ではないわ」
ハーマイオニーは夕暮れ色に染まる廊下をスキップで渡り、上機嫌で寮へと戻った。
勿論、宿題を手に談話室で待ち構えている級友達の事は、すっかり忘れてしまっていた。
(2002.1.11作品)
以下、当時のコメント↓
男性キャラ攻至上主義なのになあ(泣)またハースネかい(汗)
うぬぬ・・スネイプ手強し!
まあ、スネハーになるにはあと数年必要なようです。
ハーマイオニーが14,5才くらいの設定でなら書けます(多分←弱気か私)
希望はあくまでスネハーなので自分のために頑張れ自分(笑)
あ、ハリー・・喋ってない。
こんなに存在感のないハリーでいいのか(笑)
ハリー好きなんですけど何故・・
2006/09/08 15:15 | 未分類